ドージ投資ちゃんねるのBlog

トレードに関する自分のためのメモ

金融政策が影響を与える順序

金融政策は現実世界の色々なものに影響を与える。その順番について考察してみたい。

金融引き締め(QT)の場合を例に説明する。QTが実行されると段階的に短期金利が上昇する。金利市場はそれを織り込み、長期金利の上昇という形で債券市場は反応する。この時、理論上は株式市場も同じ時期に反応する。企業価値の現在価値の計算では、分母に金利の値が存在する。つまり金利の上昇は企業価値の悪化に繋がる。定性的に説明すると、企業の有利子負債の利払いが増えるため企業業績の悪化を懸念して投資家がポジションを手仕舞うとも言える。理論上と述べたのは、理屈ではそうだが実際はQTを行う局面では経済は加熱=企業業績は好調であることが多いため、業績悪化を市場が折込始めるタイミングは債券市場と比べて少しタイムラグがある。

ひとまず、まとめると

  1. 金利が上昇し、債券価格が下落する。
  2. 徐々に投資家がリスク資産から資金を引き上げる。

そして、次に影響を受けるのが不動産市場である。不動産市場は、上記2つの市場と異なり流動性が低い。しかし不動産市場が冷え込む理屈はほぼ自明なので省略する。(順番としては3)最後に影響を受けるのは、労働市場である。もっと砕けた言い方をすると、「人々の生活」とも言えるかもしれない。(4つ目)

2022年9月現在、アメリカのCPIは前年比で9%近い。人々の生活の質はインフレによって低下している。Fedが2%を目指す理由は、綺麗に言えば人々の生活を守るため。経済を冷やすことで、人々の生活を安定させることがFedの大義名分なのだ。以上、QTが影響を与える順番を整理すると

  1. 債券市場
  2. 株式市場
  3. 不動産市場
  4. 労働市場

そして、4の労働市場が冷え込むためには、その前にある1, 2, 3の各市場が冷え込む必要がある。つまり、リーマンショック後のイエレンのもとで行われたマイルドなQTは別として、現在のBS圧縮を伴う強烈なQTは十中八九、各資産クラスを冷え込ませると思われる。